慶應義塾志木高等学校は慶應義塾大学と連携し高大一貫教育を行う一貫高で、塾内では「志木高」と呼ばれる私立の男子校です。
標準偏差値は「74」と全国でも屈指の難関校で、首都圏を中心に全国から受験者が集中する人気の附属高校となっています。
同じ系列である慶應義塾高校(通称「塾高」)とは内部進学者の比率がかなり異なるため、校風には多少の違いがあるのですが、志木高はのびのびとしていると言われています。
この記事では、慶應義塾志木高等学校の受験者や興味を持っている人に向けて偏差値の高い理由や受験に役立つ併願校の選び方についても解説をしていきます。
- 慶應義塾志木高校の合格を目指すならまずは偏差値60
- 慶應義塾志木高校の受験倍率は例年3倍程度で高倍率
- 慶應義塾志木高校は私服が許可されており自由な校風が人気
- 慶應義塾志木高校は慶應義塾大学へ進学できるのが魅力
- 慶應義塾志木高校への合格を目指すなら東大先生!
慶應志木高校の学校情報
慶應義塾志木高等学校は1学年250名の男子校で高入生は230名ほどとなっています。立地条件などの都合から内部進学者は例年20名程度と少なくなっていて、内部生が半数近くを占める慶應義塾高校とはだいぶ雰囲気も変わってきます。
また、高校から入学する生徒は大半が公立中学の出身者となっていて、学校の雰囲気ものびのびとした開放的なイメージが定着しています。
創設時には慶應義塾農業高等学校とされており、農業高等学校時代の名残から、校内に作られた畑で耕作授業も行われていて、このような恵まれた自然環境が同校の特徴であるといえるでしょう。
慶應志木高校の基本情報
慶應義塾志木高等学校では私服での通学が許可されています。これは志木高生が自ら制服の自由化を勝ち取った歴史に由来するもので、詰め襟の制服着用が義務付けられている慶應義塾高校とはこの点でも異なります。
学校行事の中では、秋に開催される「収穫祭」が最も盛り上がり、生徒による実行委員会が企画から運営まですべてを手掛けています。部活や同好会の招待試合や有志による独自企画や研究発表もあり、高校生のみならず受験生や保護者の来場者も多く見られます。
教育課程の面では第三学年次に履修する「自由選択科目」が特徴的で、自分の興味・関心や進路に応じて単位を履修できます。講義や演習・実験、プログラミングや作品制作から合唱に至るまで、バラエティに富んだ専門科目が用意されています。
慶應志木高校の評判・口コミ
慶應義塾志木高等学校に実際に通っている在校生の口コミをまとめてみました。
【慶應志木の口コミまとめ】
・卒業できれば慶應義塾大学へ進学できるから選んだ(男子)
・医学部以外ならだいたい好きなところに入れる(男子)
・ガッツリ部活に打ち込みたいなら塾高のほうがいいかも(男子)
・受験がないので、部活や趣味に打ち込める(男子)
慶應義塾志木高等学校に通っている学生は「受験をせずに慶應義塾大学へ進学できる」ということを最大のメリットと捉えていて、高校生活を勉強以外の部分でも楽しんでいるようです。
ただ、今まで熱心に勉強をしてきた生徒も多く、与えられた自由を持て余してしまうこともあるようで「目標を見つけないと勉強に身が入らない」という声もありました。
校則は一切なく、私服での登校が許可されているため、のびのびとした高校生活を送っている学生が多いようです。
慶應志木高校の偏差値や入試に関する情報
慶應義塾志木高等学校の標準偏差値は「74」となっていますが、実際に受験をする場合にはこの指標はあまり気にする必要はありません。
その理由は、慶應義塾志木高等学校をはじめとする早慶附属や国立・開成といった難関高校は入試問題が難しく、一般的な偏差値では合否の判断がしにくいためです。
難関高校を受験する場合には「駿台テスト」の偏差値を基準とするのが定石となっています。
実際、2023年度の慶應義塾志木高等学校の合格者416名中91%(405名)は駿台テストを受験したことがある(※)と回答しています。
※駿台中学生テスト受験者 2023年度 主要高校合格状況より引用
慶應志木高校の偏差値
2022年度の慶應義塾志木高等学校の駿台偏差値は確実ラインが「66.6」、可能ラインが「61.0」となっています。開成高校の可能ラインが「64.9」ですので、確実に合格を狙う場合にはこうした高校も狙えるレベルの学力が必要になるとも言い換えることができますが、「65」を超えるのはなかなか難しいかもしれません。
慶應義塾志木高等学校をはじめとする早慶付属校を狙う場合には、まずは駿台偏差値「60」を目指してみてください。そのためには、早い段階で基礎を身に着けた上で、難しめの応用問題に慣れておく必要があります。
学校の授業や教科書だけでは太刀打ちできないレベルの問題が並んでいるため、初めて受験する人は面を食らってしまうこともあるかもしれません。ただし、基礎がしっかりとできていれば解法を身につけるだけで一気に成績を上げることも可能です。
また、難関高校の入試は問題の相性もあるため、過去問対策や併願校の選び方も重要になってきます。
引用:【2024年】埼玉県内の高校偏差値ランキング|国立・公立・私立まで一挙紹介
慶應志木高校の一次試験(筆記)について
慶應義塾志木高等学校の入学試験は英・国・数の3科目となっています。これは首都圏の多くの私立高校に採用されている入試科目で、慶應義塾高校や早稲田大学系の附属高校でも同様です。
合格最低点は年度によっても異なりますが、おおよそ170点〜190点ほどとなっています。各科目60点というのが合格への一つの目安といえるでしょう。
ここでは各科目の傾向について簡単にまとめていきます。
【英語】
例年とも大問は7つ前後となっています。長文は物語文・説明文の読解が主で600〜700語程度のものが3題出題されるというのが定番です。各長文に充てられる時間は10分ほどとなるため、基本的な単語・熟語の習得に加えて前後から単語を読み取る速読力も求められます。「英単語ターゲット1200(旺文社)」などの高校生向けの単語帳を使って学習を行うのがおすすめです。2023年度からは「自由英作文」も出題されているため、今後は「英→日」だけでなく「日→英」に対応できる記述力も問われそうです。
【国語】
慶應志木の国語では時事に即した漢字の書き取り問題が出題されます。難読漢字の読みが出題される年度もあるため、日ごろから高いレベルの問題集を使って漢字学習を行うようにしましょう。また、【絵を描く】【俳句を作る】といった「なぞなぞ」と称される突飛な問題が数年毎に出されるのも特徴で、教科書だけでは対策しきれない総合的な教養及び国語力を問われることになります。
【数学】
例年とも小問集合を含めて大問は7つ前後となっています。問題毎に配点格差があるため、空欄を作らない解答力が合格への近道となります。例えば、小問集合の中でも時間を取られる問題が混じっていることもあり、潔く次の問題へ移る判断力も時には必要です。出題分野では「二次関数」と「空間図形」が頻出で、「場合の数」「確率」からも隔年で応用問題が出題されています。「文章題」では食塩水や流水算を用いて手早く処理できるかが鍵です。
いずれの科目もおおまかに高1〜高2程度の基礎学力を前提とした応用問題が出題されています。できるだけ早い段階で中学の学習過程及び基礎的な知識を身に着けた上で、過去問研究と平行して応用問題が解ける力をつけていくようにしてください。
慶應志木高校の二次試験(面接)について
一般入試で慶應義塾志木高等学校の受験を行う場合、内申点による加点・減点はほぼありません。
その代わり、筆記試験の合格者には二次試験として面接が課されるため予め対策をしておく必要があります。面接では願書や調査書に基づいて、「志望動機」や「時事問題」など一般的な質問に加えて、「天気」や「通学方法」といった日常的な会話から話題を発展させるケースもあるようです。
【面接で聞かれる項目の例】
・自己紹介・・・中学時代取り組んだことなど
・併願校について・・・具体的な校名・合否、第一志望かどうかなど
・慶應義塾で「何を」学びたいか・・・慶應である理由付けが必要となる
・最近の時事問題や読んだ本について・・・問題の要旨と自身の意見・感想
併願校については「開成」や「塾高」といった具体的な校名を上げて、「両方受かった場合どちらにいくか?」などと突っ込んだ質問をされるケースもあるようです。こういった質問は予め回答を用意してから試験に臨むのがよいでしょう。また、最後に「なにか質問はある?」と聞かれた際の回答も事前に準備しておきましょう。
なお、二次試験日は例年2月11日となっていて、「早大学院」の試験日と重なる(※)という点には予め注意が必要です。そのことを知った上で、「早大学院」に出願したか否かなどの質問がされることもあります。
※面接のグループ分けによっては併願できる可能性もある
慶應志木高校の入試情報(倍率・定員等)
入試倍率(2023年度) | 募集人数 | 倍率 | 志願者 | 合格者 |
---|---|---|---|---|
一般 | 190 | 3.02 | 1,154 | 349 |
帰国 | 若干数 | 2.70 | 65 | 24 |
自己推薦 | 40 | 2.59 | 122 | 47 |
一般入試における慶應義塾志木高等学校の入試倍率は例年とも3倍程度となっています。また、一次試験の合格者であっても毎年200名程度が二次試験で不合格となってしまうため、最後まで気を抜くことはできません。
自己推薦においては、書類選考の通過者に対して二次試験が課されることになり、合格者は約半数となります。
慶應志木高校の併願校
慶應義塾志木高等学校をはじめとする早慶附属高校を志望する場合、併願校のパターンはある程度決まっています。
埼玉県では1月に私立の入試が実施されるため、そこで抑えの高校を受験し、2月以降の本番へ備えることになります。
【私立学校】 | 標準偏差値 | 駿台偏差値 |
---|---|---|
開成 | 76 | 69 |
慶應義塾 | 74 | 64 |
早大学院 | 73 | 64 |
早大本庄 | 73 | 65 |
栄東(東・医) | 70 | 62 |
立教新座 | 70 | 58 |
【主要国・私立高校 偏差値一覧表(駿台)より引用】
慶應義塾志木高等学校を受験する場合の併願候補はおおむね上記の通りとなります。
この中で、開成と慶應義塾は試験日が2月10日と重なるため、第一志望によってどちらかを選択することになります。
また、早大学院の試験日は慶應志木の二次試験と重なるため、早慶志望者は第一志望によって出願先を選ぶ必要があります。早大学院は二次試験がないため、慶應志木の一次試験の手応えがあまり良くない場合に早大学院へ乗り換えるケースは珍しくありません。
なお、慶應義塾志木高等学校の二次試験は5つほどのグループに分かれて招集されるため、開始が遅い場合には併願できる場合もあり、とりあえず両方出願しておくという受験生も多くいます。
慶應志木高校は内部進学できる?進学実績を紹介
慶應義塾志木高等学校の卒業生は学校長の推薦により慶應義塾大学のいずれかの学部に進学することができます。
ただし、他大学を受験する際には慶應義塾大学への推薦を辞退しなければなりません。毎年2〜3名の進路状況が「その他」となっていますが、その多くは「他大学の医学部」への進学やそのため準備(浪人)となっています。
なお、各学部への推薦は定期考査などの成績を元に行われることになり、成績が基準に足りていない場合には「留年」(毎年2〜3名)となってしまい、同一学年を2回留年した時点で「退学処分」となります。
ここ3年間の慶應義塾志木高等学校の卒業生の進路内訳は以下のようになっています。
卒業生進路 | 2022年 | 2021年 | 2020年 |
---|---|---|---|
文 | 13 | 12 | 13 |
経 | 80 | 79 | 80 |
法 | 74 | 74 | 74 |
商 | 20 | 21 | 19 |
医 | 7 | 5 | 7 |
理工 | 33 | 39 | 50 |
総合政策 | 2 | 1 | 4 |
環境情報 | 5 | 9 | 5 |
看護医療 | 0 | 0 | 0 |
薬 | 0 | 1 | 0 |
その他 | 3 | 2 | 3 |
卒業者 | 237 | 243 | 255 |
「医学部」への進学を希望する場合には成績上位をキープする必要があり、内部進学であっても難易度はかなり高くなっています。
それ以外の学部では「法学部法律学科」の人気が特に高く、比較的優秀な成績を修めることが求められますが、「狙えば入れる」程度で外部から入るよりは敷居は低くなっています。
また、成績以外の注意点としては「医学部」「理工学部」「薬学部」への進学を希望する場合、一部の理数科目の履修が必要となります。これは第2学年への進級時の必修理科の選択時点で決めることになるため、選択肢を広げたい場合には理系クラスを選ぶようにしてください。
なお、「理工学部」及び「薬学部」に関しては履修科目の要件を満たせばほぼ希望通りに進学することが可能となっています。
慶應志木高校と慶應義塾高校の違いについて
慶應義塾志木高等学校を志望している受験生の中には同じ系列である「慶應義塾高校」と併願する、またどちらを第一志望にするか悩んでいるという方も多いでしょう。
駿台偏差値では慶應志木が「66」、慶應義塾が「64」となっており、慶應志木の方がいい学校であるというイメージを持っている人もいるかもしれません。実際はどちらの学校にもそれぞれ良さがあり、校風も結構異なる部分があるのですが、学生の質や進学できる大学・学部などについてはほとんど変わりません。
校風についてはこの記事でも紹介していますが、いわゆる「慶應ボーイ」のイメージに近いのは「慶應義塾」、のびのびとした開放的に過ごしたいなら「慶應志木」という感じです。
ただし、塾高には内部生が多いため、入学時点である程度グループができてしまっているという点には注意が必要です。知り合いが少なかったり、友達ができるか不安と感じる場合には志木高がおすすめです。
慶應志木高校の偏差値はなぜ高い?
慶應義塾志木高等学校の偏差値の高さにはいくつか理由があるのですが、その一つは「入試日程」によるものです。
慶應義塾志木高等学校の入試日は一次試験が2月7日となっており、開成高校(2月10日)や筑波大学附属駒場(2月13日)を第一志望とする受験生の力試し校としても併願されるため、偏差値が吊り上げられているのです。同じ慶應義塾大学系列である慶應義塾は一次試験が2月10日、二次試験が2月13日となっているため、こうした高校とは併願することができず、早慶志望者が集中することになります。
また、慶應義塾志木高等学校では国語や二次試験で「受験生のセンスが問われる」ようなユニークな問題が出題されることがあり、対策をしにくいというのもこうした要因の一つといえるかもしれません。自由英作文の導入など入試問題の難化傾向は更に進んでいて、偏差値が下がる要因は見当たりません。
とはいえ、偏差値はあくまでも一つの目安に過ぎません。特に早慶の付属校は入試問題が独特なため過去問との相性も非常に重要で、偏差値だけで合格が決まるわけではないのです。慶應志木が第一志望という人は慶應義塾はもちろんのこと、早大本庄や早大学院の併願も視野に入れながら受験計画を立てることをおすすめします。
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ここまで、慶應志木高校の偏差値や入試の特徴について紹介していきました。
慶應志木高校のことを詳しく知ることができて、「慶應志木高校に合格したい!」という気持ちが高まったのではないでしょうか?
しかし、慶應義塾志木高等学校への合格を確実なものにするためには、高校レベルの基礎学力を身に着けた上で応用問題に慣れていく必要があります。
独学や塾学習では偏った成績になってしまうことがあり、英・国・数の3科目を重点的にバランスよく上げていくことは至難の業ですよね。
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慶應志木高校の偏差値・校風まとめ
慶應義塾志木高等学校は標準偏差値「75」の最難関校の一つで、実際に受験をする場合には駿台テスト偏差値の「61」というのが目安ラインとなります。英・国・数の筆記試験に加えて、極めて重視される面接試験もあるため、合格を勝ち取るには入念な対策が必要となるでしょう。
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卒業生は確実に慶應義塾大学のいずれかの学部へ推薦されるため、高校3年間を受験勉強に縛られることなくのびのびと過ごすことができる、というのは慶應志木の大きなメリットです。
この記事を読んで慶應義塾志木高等学校に興味が出たという人は、秋に開催される学校説明会への参加をおすすめします。